自分の書くことに責任を持つ
フランスでは子どもたちが勉強するときに、消しゴムで文字を消せるような鉛筆やシャープペンを使わない。小学生でもボールペンや万年筆を使う。書き間違えから目をそらさず、自分のやったことに責任を持つために。
そんな話を耳にしました。そこで論塾では2015年から中学生・高校生の全員がボールペンまたは万年筆で勉強しています。
インク色はブルーブラック。中高生が学校で使うシャープペンの鉛色や、一般的なボールペンの黒色と違って、白いノートに躍る濃紺の文字は、むしろ落ち着きも感じます。
考えることは、書くことだ
ICT全盛の時代ですが、論塾では、みずからの手を動かして『書く』行為を大切にしています。
板書をノートに写すのは当然のこと、講師が口頭で説明したことも聞き取り、ノートにとっていきます。数学の途中式や計算で間違えたとしても、消さずに残しておきます。図形の問題でも、テキストやプリントに直接書き込むことはしません。まずはノートにフリーハンドで大きく書き写し、仮定条件や図形の性質などの印をつけ、筋道をたてて考えていきます。
頭のなかで考えるといっても、言葉やイメージが入り混じり、次から次へと連想したり、または思いとどまって別の方向に移ったりと、その内実はとりとめもないものです。だから、考えたとは、実際に目に見える形で書き出してこそ、本当に考えたといえます。
書いたことが間違えていたり、たとえ的はずれなことだったとしても、それは自ら思考した形跡です。あったことを、なかったことにする必要はありません。だから消しゴムも必要ないのです。
消せない文字が、塾生を鍛える
ボールペン・万年筆による学習を導入してから、塾生たちにもプラスの効果が出ています。
- 考えているつもりではなく、書き出すことで、実際に考えるようになった
- なぜ間違えたのか、その原因をしっかり確かめるようになった
- 図形をフリーハンドで書くので、辺の長さや角度の大きさに意識が向くようになった
- 消しゴムのカスを気にすることなく、勉強そのものに集中できる
- ボールペンや万年筆は想像以上になめらかで、文字が書きやすい
- ボールペンのインクの減り方を目で確かめられるので、使い切ったときに達成感がある
入塾したばかりだと戸惑うこともありますが、さすが柔軟性のある子どもたち、すぐに適応します。塾生が向上することであれば、どんどん積極的に取り入れていきます。
すべては自分の成長のために
消しゴムを使って失敗を覆い隠すのではなく、真正面から向き合い、改善策を講じる。
みずから考えることに集中し、考えたことを書くことにも集中する。
書いたことには責任を持ち、すべてを自分の成長に結びつける。
消しゴムを使わず、ボールペン・万年筆を使った学習で、論塾では自分を鍛えています。