「いつごろ塾に入ればよいですか?」
そんなご相談をよく受けます。わが子の将来を考えると、早めに準備したほうがよいのかもしれない。でも塾に通うとなると月謝がかかるから、少しでも先送りしたい、というのがお母さんの本音ではないでしょうか。
ずばり結論は、
『早ければ早いほどよい』
といえます。
瞬発力のある男子生徒。手遅れに注意せよ
たとえば高校受験。男子の場合は、中学3年の夏休みになり部活を引退しても、なかなか受験勉強への意欲は高まりません。ぽっかり空いた時間を持てあましたり、引退後も部活に顔を出して先輩風を吹かせたり。志望校もなかなか絞り込めない。自分からは、まず勉強しません。
しかし、いざ目標が決まった後の瞬発力は男の子の強みです。苦手なものを克服しようとする意欲が高まり、集中力がつきます。受験というプレッシャーをばねにして、成績も右肩上がりになっていきます。
ただし、これも受験勉強を始める段階で、最低限の学力があってこその話。
正直にお話しします。経験上、中3の夏から塾に通い始める男子生徒は、まず伸びません。これまでもほとんど勉強しておらず、勉強が分からないから塾に通うという動機が強いからです。入塾後、必死に勉強法を身につけても、受験までの半年で『できるようになった』と実感するまでには至らない。つまりは間に合わないのです。
「内申点が高いから大丈夫」という考えについては、後述します。
女子は持久力に強みあり
瞬発力のある男子に対して、女の子の強みは持久力があることです。周囲が勉強、勉強とせかさなくても机に向かいます。日々の地道な積み重ねこそ合格に結びつくのだと信じ、自分を肯定的にとらえている女子は確実に伸びます。
すると女の子は、どれだけ早い時期に正しい勉強法をきちんと身につけるかにかかっています。女子は男子とちがって瞬発力に欠けるので、中3夏から塾に通い始めても、やはり間に合いません。『自己流の勉強法』からなかなか抜け出せないのです。
そんな様子にいら立つお母さんもいて、模擬試験の点数によって娘に厳しく接することが本当に多いのですが、完全に逆効果。母親の圧力と受験への不安で自滅してしまいます。
学校の成績(内申点)が良い、という甘さ
塾通いを先送りにする理由のひとつに、
「学校の成績は良いほうだから間に合うはず」
「定期試験では、いつも高得点だから大丈夫」
というものがあります。高校受験おいて、学校の成績イコール内申点がよいから大丈夫だという解釈です。
ただ、これも正直に申し上げます。内申点は、本人の学力をまず反映していません。
成績表で、国数英理社だけでなく、実技4科を含めた9教科で、オール5という生徒は実際に存在します。とはいえ論塾内で実施しているような、都内全域を対象とする模擬試験となると、偏差値70を超えることはめったにありません。
これまでの指導経験からすると、たとえ学校の通知表がオール5でも、偏差値でいえば60~64ということが多いです。オール4であれば偏差値50~54ぐらいです。かつては中の中といわれたオール3だと、偏差値42~45がいいところです。
ある人気都立高副校長は…
そのように、内申点は生徒の学力を正しく反映しているとはいえません。それは次の言葉によく表れています。
「学校での成績はよい。塾通いしていなくても、定期試験では5教科すべてで90点以上、合計450点以上は取れる。部活では部長をやり、生徒会役員にも選ばれている。そんな『優等生』が推薦入試で入学してくると、高校で落ちこぼれる事例が多い」
東京都から進学指導特別推進校に指定されていて、独自入試作成校でもある多摩地域のとある都立高校の副校長みずから、高校説明会の場でそう認めています。
「落ちこぼれている生徒は、推薦入試組であることが多い」
その高校に進学した卒塾生の話を聞いても、完全に一致します。
学習塾向けの学校説明会に参加した際には、校長や副校長、教務主任の先生などに、この話を必ず質問するようにしていますが、大半の都立高校でこれを認めています。
高校受験について結論。
「高校入試、中3からの塾で間に合いますか?」
答えはシンプルです。間に合いません。
中3よりも中2、中2よりも中1からと、早いうちに正しい勉強法を確実に身につけることが成功につながります。論塾では毎年、高校入試では中1から入塾した生徒が、確実に第一志望に合格しています。
この第一志望というのは中3春に、高校のレベルと自分の成績の差を一切考えずに、いわば憧れとして思い描いた志望校です。模試の合否判定からとりあえず選んで出願した都立高校に合格するといった安易なものではありません。
論塾では毎年7月に、たとえ定員に満たなくても、中学3年生の入塾を締め切っています。中3の夏休み以降に入塾を希望したり、部活動を引退してから入塾すればいいと考えていたりする場合、丁重にお断りしています。
追記:アクセスする方の本音は?
2016年になり、GoogleやYahoo!からこのページへ直接アクセスしてくる数が極端に増えました。しかし検索キーワードから類推すると、
- 高校受験のために、中3以前から塾に通ったほうがよいか。または中3からの通塾で間に合うのか。
- 中3で入塾するのなら、春から入塾すべきか、部活動引退後の夏からでも間に合うか? 秋からというのも可能か?
そんな考えや疑問をもってアクセスしているのが、手に取るようにわかります。論塾のある東京都羽村市や塾生の多い青梅市だけでなく、答えを求めて全国からアクセスがあります。
親も生徒もその本音は共通です。
●できるだけ入塾時期を遅らせたい。
というものでしょう。
- 親は、塾通いの費用をなるべく抑えたいから、入塾時期を遅らせたい。
- 生徒は、勉強よりも部活を優先したいので、塾通いしたくない。
そんな本音が検索キーワードから見え隠れします。
では、さきほどの疑問にお答えします。
●入塾時期を遅らせても、プラスになることは何ひとつありません。むしろマイナスになることがほとんどです。
●高校受験、夏から塾で、間に合うかどうかといえば、間に合いません。
●勉強でも、スポーツでも、どんなことであれ、じっくり時間をかけて磨くほうが、必ず伸びます。
●論塾でもっとも成績のよい中学生は、小6から毎日、授業曜日かどうかを問わず自主的に塾に足を運び勉強しています。もちろん部活も毎日やっていますし、都大会レベルです。