東北地方を襲った未曾有の震災と津波から1年がたちました。あの日を思い出すといまも胸が苦しくなります。東京にいて直接被災したわけではなくても、暗い記憶は重くのしかかっています。
実はその震災から1か月もたたない昨年4月9日、学習塾の授業をお休みして、被災現場に直接向かいました。報道の世界に身を置き、マスコミの末端として生活の糧を得てきたうえで一貫しているのは、現場主義です。行先は福島県相馬市。地震で傷んだ高速道路を使っても7時間かかりました。
津波で住宅が流され、がれきの山となった海岸沿いもカメラを片手に歩きました。しかしシャッターを切ったのは数回。現実のむごたらしさと、この先に進めばもっと悲惨な現場もあるんじゃないかという非人道的な思いを根底に感じ、自分が嫌になりました。
その晩は廃校を利用した避難所で寝袋を使って一夜を明かし、翌日は一部が原発の避難区域にもなっているお隣の南相馬市の避難所にも足を運びました。それでも写真はほとんど撮っていません。でも伝えられることはたくさんあります。一夜を明かした相馬市の避難所では、有志の方が学校に通えない子どもたちを集めて学習指導も行っていました。
震災から1年。ようやく生徒たちにも少しずつ、この話をしていきたいと思います。